「もっと人手があれば、このチームはうまく回るのに……」
管理職になりたての頃、私は毎日のようにそう頭を抱えていました。
しかし、本当に不足していたのは「人員」だったのでしょうか。
目先の納期や予算のプレッシャーに追われ、身動きが取れなくなっていた過去の自分へ届けるような気持ちで、視界が開けた「ある覚悟」について解説します。
📌 この記事の要点
- 「自分がやった方が早い」と仕事を巻き取ると、育成と委任の機会が永久に失われる
- マネージャーを縛る元凶は**「いつまでに(納期)」と「いくらで(コスト)」**の2つの数字
- 人が足りないのではなく、短期的なリスクを引き受ける**「覚悟」**が不足している
- 今日の1時間を「自分の作業」から**「未来の育成・対話」**へ投資する
プレイヤーの延長線上で溺れかけた、新米管理職の孤独
プレイヤーとして成果を出し、意気揚々とリーダーに就任したはずが、待っていたのは終わりの見えない残業と強い孤独感でした。
チームを率いる立場になった途端、自分のタスクだけでなくメンバーの進捗管理やトラブル対応が雪崩のように押し寄せてきます。
💬 当時の心の声(悪循環の始まり)
「教える時間があるなら、自分が手を動かしたほうが圧倒的に早い……」
そう感じて仕事を巻き取るたび、一時的に急場はしのげても、翌日にはまた同じ業務に追われる日々。
メンバーに任せようにも、説明する時間や手戻りのリスクを恐れてしまい、結局すべてを自分で背負い込んでしまうのです。
周囲からは「リーダーなんだから周りを頼って」と言われても、頼み方すら分からないまま、深夜のオフィスで一人キーボードを叩く毎日。誰にも弱音を吐けず、チームがうまく機能していない焦りと自己嫌悪ばかりが募っていきました。
私を縛り付けていた「納期」と「コスト」の呪縛
当時の私の思考を麻痺させていた元凶は、「2つの数字の呪縛」でした。
| 縛られていた要素 | 当時の思考パターン | 生じた弊害 |
| 納期(いつまでに) | 「今月中に納品するため、自分で30分で終わらせる」 | 新人を育てる時間的余白が完全に消失 |
| コスト(いくらで) | 「今期の予算枠を守るため、外部の手は借りない」 | 新しい人材調達や仕組み化の判断が停止 |
カレンダーの締め切りとにらめっこし、予算管理シートの残額を電卓で弾いては胃を痛める日々。「早く、安く」という短期的な枠組みに囚われるあまり、視野が完全に塞がれていました。
その結果どうなったか。
チームの誰も育たず、私の抱え込み業務だけが膨らみ、口を開けば「人が足りない」と愚痴をこぼす最悪のマネージャーになっていたのです。
実態は「目先の制約を守るために、未来のチームへの投資を自らの手で放棄し続けていただけ」でした。
「人が足りない」のではなく「覚悟が足りない」と気づいた瞬間
ある日、パンク寸前になった私は思い切って発想を逆転させました。
💡 パラダイムシフトの結論
「今期の納期や予算を多少オーバーしてでも、人を育てること・任せることに全力を注ぐ」
不足していたのは人員ではなく、短期的な評価の低下や失敗のリスクを背負い込む「私の覚悟」でした。
目の前の締め切りを自分の手で埋め続ける限り、チームは永遠に育ちません。
たとえ手戻りが発生して納期が遅れそうになっても、メンバーに失敗する余白を与え、最後までやり切らせる責任を引き受けることこそがリーダーの役割です。
- 今週の自分が楽をするための「作業」を手放す
- 半年後のチームを楽にするための「投資」へ腹を括る
そう決めた瞬間、目の前の景色は一変し、育成や採用という選択肢が現実的な一手として動き出しました。
時間軸を未来へずらすためのセルフチェック
もし今、あなたが「人が足りない」と一人で抱え込んでいるなら、以下の項目を点検してみてください。
✅ マネジメント視点のセルフチェック
- [ ] 「自分がやった方が早い」という理由で引き取っている業務がないか
- [ ] 1日のスケジュールの中に「メンバーとの対話・育成の時間」を確保しているか
- [ ] 目先の締め切りだけでなく、3ヶ月後・半年後のチーム体制を見据えているか
- [ ] メンバーの失敗や手戻りの責任を自分が引き受ける覚悟を持てているか
まずは今日の1時間を自分の作業ではなく、メンバーへの引き継ぎや対話という「未来への投資」に使ってみてください。
目先の呪縛を解き放ち、長期的な視点で覚悟を決めたとき、チームは必ず自走し始めます。


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